相続についての期間の定め|新潟・上越相続

query_builder 2020/08/12
相続
行政書士阿部成恭事務所
相続手続きはいつまでにしたらよいのでしょう?

この質問へのお答えとしたら、その手続の内容によります。という答えになります。法律でいつまでに手続をすることを求めている手続もあるのです。具体的な手続の期限については別途ご説明したしますので、今回は民法で定められている相続に関する期間についてみていきたいと思います。

遅滞なく【遺言書の検認】…遺言書の保管者・発見者
《概要》
 遺言書は、家庭裁判所で開封しなければなりません。家庭裁判所外で開封したり、検認を経ない遺言書を執行した場合、過料に処せられる場合があります。

1か月【相続分の取戻権】…譲り渡しから1か月
《概要》
 共同相続人がその相続分を第三者に譲り渡した時は、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができます。
 この取戻の意思表示は、譲受第三者に対して一方的意思表示で効果が生じ、譲受第三者の承諾や同意は必要ありません。
 この取戻権を行使しない場合、その譲受第三者が遺産分割協議に参加することになります。

3か月【相続の承認・放棄・限定承認】…相続開始を知った時から3か月
《概要》
 自己のために相続開始があったことを知った時から3か月ですので、自分が相続人となったことを知った日と置き換えて行動して大丈夫です。ですので、第一順位である子が相続放棄して、後順位の自分が相続人となった場合などでは、その子が放棄したときを基準に3か月と考えて大丈夫です。
 また限定承認は、共同相続人全員が共同して行いますが、こちらも3か月となっています。

6か月①【相続の承認・放棄の取消】…追認をすることができる時から6か月
《概要》
 相続の承認・放棄は、撤回することができません。しかし、取消原因がある場合には取り消すことができます。具体的には、法定相続人などの同意のない相続の承認・放棄、錯誤・詐欺・強迫に基づく承認・放棄、後見監督人がいる場合などでその監督人の同意を得ない後見人等の相続の承認・放棄などが具体的な取消原因となります。この取消は、追認をすることができる時から6か月経過してしまうと時効により消滅してしまい、それ以降は取り消すことができません。また承認・放棄から10年の除斥期間経過後も同様です。すべての相続人が対象になることではありませんのでよくあることではありませんが重要です。ちなみに限定承認・放棄の取消は、家庭裁判所への申述が必要です。

6か月②【配偶者短期居住権】…相続開始の時から6か月
《概要》
 被相続人の財産に属した建物に相続開始時に無償で居住していた場合には、居住建物の帰属が確定した日若しくは相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間、無償で居住できます。遺贈で第三者が取得した場合には、配偶者短期居住権の消滅の申し入れがあった場合でも、その申し入れから6か月間は居住できます。

6か月③【特別寄与料の家庭裁判所の処分】…相続開始及び相続人を知った時から6か月
《概要》
 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持増加に特別の寄与をした被相続人の親族は、相続人に対して、特別寄与料の請求ができます。この相続人に対する請求で協議が調わないときは、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求できます。この裁判所に処分を求める期間が6か月ということです。
 寄与分は相続人のみの制度でしたがこの特別の寄与料の制度は、相続人以外の者の貢献を考慮し、争いある場合でも家庭裁判所で解消する制度も設けられていますのでその点では画期的制度だと思います。具体的な手続きとしては、特別の寄与をした人が、遺産分割協議に参加するのではなくそれとは別に各相続人に対して寄与料を請求していくのです。

1年①【遺留分計算に算入する贈与】…相続開始前1年の贈与
《概要》
 相続開始前1年の贈与は遺留分計算の基礎に算入されます。当事者双方は遺留分権者に損害を加えることを知って贈与したときは1年前の贈与も対象となります。
 相続人に対する贈与については、相続開始前10年、婚姻若しくは養子縁組のための贈与、または生計の資本の贈与が対象になります。

1年②【遺留分侵害額請求権】…相続開始及び侵害を知った時から1年
《概要》
 相続開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に請求しなければなりません。

5年①【相続回復請求権】…相続権を侵害された事実を知った日から5年
《概要》
 真正相続人が、表見相続人に侵害されている場合に、その侵害を排除して、その財産の支配を回復するための制度です。

5年②【遺産分割の禁止】
《概要》
 遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁止することができます。相続人はその期間遺産分割の協議をすることができません。

いくつか新たな相続法も含めて期間を観てきました。この中でこの記事をお読みいただいている皆様に覚えていていただきたいことは、【遺言書は遅滞なく】【相続放棄・限定承認は3か月】【遺留分侵害額請求は1年】の3点です。ご自身で思わぬ不利益を被らないためにも覚えておいて損はありません。次回は、具体的な相続手続きの期限について、解説したいと思います。

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